[開催レポート]8/23 対話の時間〜テーマ 「自立」〜

REWAの西浦です。

8/23(月)に、「対話の時間~テーマ 「自立」~」というタイトルで「自立」をテーマに哲学対話をするイベントを行いました。今回のテーマはアンケートでいただいたものの中から選ばせていただきました。「自立」については私自身最近よく考えるテーマなのでどんな対話になるか楽しみでした。

時間になり皆さんが続々と集まってきてくれました。初めましての方や常連さん、また学生さんもいて今回も多様なメンバーが集まりました。

まずは簡単に私の自己紹介とREWAについて紹介をさせていただきました。そして、哲学対話が初めての人もいるかもしれないので、哲学対話って何?を説明させていただいて、哲学対話をする上でのルールをお伝えしました。その後、参加者皆さんに自己紹介をしてもらいました、今回は「あなたは何%自立していますか?」という質問をさせていただき、それに答える形で一言ずついただきました。皆さんの回答は25%から70%ということでかなり幅があり、またその理由も様々で興味深かったです。

自己紹介のあとはテーマについての「問い」を皆さんから出していただいて、その中から対話のスタートになる「問い」を選びました。その中から選ばれた本日の問いは「自立の絶対条件は何か?」でした。問いを出してもらった参加者からその問いを出した理由を教えてもらってから、対話がスタートしました。問いを出した人は、「私自身、他の人から自立していると言われることが多かったが、自分ではできないこともあり度々悶々と考えることがあった、また自己紹介の際に自立0%の人がいなかったので、皆さんが共通する自立の条件があるのではないかと感じた。」とのことで、自立の絶対条件について探求してみたいとのことでした。

それを受けて、「問いの中の”絶対条件”とはどういう意味か?」という質問があり、それに対して「人間が自立していると感じるために共通なものという意味、それがあるかは分かりませんが。」とやりとりがあり、まず参加者の間で問いの解釈を合わせていく丁寧なやりとりがありました。
その上で、「自立とは自分で責任をとれることではないか」という考えの共有があり、さらに「やはり自分の意志があることが必要なのでは」という考えが出され、責任や意志との関係性を考えていきました。ここで「では”ヒモ”と呼ばれる男性がいますが、彼らは自立していると思うのです。」という発言があり、それに対してすぐさま「なぜそう思うのですか?」という質問が飛びました。それに対し「”ヒモ”は世間の目がある中で自分の意志で”ヒモ”という生き方を選んでいる。また、女性にこの人に貢ぎたいと思わせている、これは一種の役割を持っているのではないかと感じたからです。」とこれまで考えてきた”意志”というキーワードに加えて、”役割”というキーワードも出てきました。それに対して「私は”ひも”に貢いでいる女性に精神的な負担がなければその男性は自立していると思います。自立には精神的なものが関係しているのではないかと思います。」と新たに”精神的要素”が出てきました。そして「自立には経済的側面、精神的側面、身体的側面が満たされていることだと考えました、経済的は収入があること、精神的は自ら選択できること、身体的は健康であることです。」とこれまでの対話を通じて、自立に必要な3つの側面という考えが浮かび上がってきました。それに対して、「その3つの側面をすべて備えていないといけないのでしょうか?例えば、身体的に不自由でも自立していると感じる方はおられるますし。」という疑問もでてきました。皆さん少し悩む時間があり、「今日の参加者で自立100%と答えた方はいなかったですよね、私たちは100%自立していなくていいのではないのでしょうか?」という考えが出され、それに続いて「例えば人に頼らず人生を送れる人がいたことを想像したのですが、それって面白くないのでは?と感じました」や「確かに、足りないことを補い合うのが大切なのかもしれませんね。」と言葉が交わされて「存在するかわかりませんが”完全な自立”があり、それに対して”不完全な自立”というものがあるのかもしれないですね。」と、対話を通じて自立というものが不連続なものではなく、グラデーションのある連続的なものではないかという考えがつくられていきました。

ここで「私は自立とは相手に与えることができる何かがあることが必要かと考えました。先程の”ヒモ”の例では、男性は女性に何かを与えていれば女性に経済的に依存していても、この二人のグループ全体では自立がなされていると考えました。」と自立が個人のものではなく、グループで成し遂げることができるのではという考えが共有されました。それに対して「確かに社会的視点は大切かもしれません、しかし”ヒモ”は少し違うのではと感じます、自立しているためにはなにか社会的認証が必要なのではと感じます。」や「自立は2つの視点があると思いました、”自分視点”と”第三者視点”です。”第三者視点”で自立とみなされるためには存在意義が必要なのではと思います。」という考えが交わされて、自立を捉える視点について考えが深まり、自立と社会の関係性について考えていきました。このように自立の条件を考えることを通じて、どんどん自立とは何かについて考えが深まっているところでお時間となりました。

最後に皆さんから最後の一言を発表してもらいました。
皆さん対話を通じて、たくさんのモヤモヤを感じたそうで、これからも考えていきたいテーマだという感想をいただきました。そして記念撮影をして対話の時間は終了しました。

対話終了後、交流会として皆さんで自由にお話をしました。その中では、「私も”ヒモ”に憧れます」という発言から「東大の学生にも”ヒモ”になりたいという人がいるという記事を見ましたよ。」などの話題提供があり、「まったく同じではないですが”ヒモ”を”専業主夫”と置き換えたらどう感じますか?」という問いかけがあり、皆さん「うーん」と唸っておられました。そのほか、専業主婦や結婚など幅広いお話が展開され楽しい時間でした。

今回「自立」というテーマで対話をさせていただきました。対話を通じて、今まで私が考えてきた自立の世界を遥かに超える考えが出てきて、まだまだこのテーマを考えていきたいと感じました。

一緒に対話してくれた皆様ありがとうございました。

~参加者の方からいただいた感想~
・様々な方とディスカッションし、新鮮であり考えさせられた。(Hさん)

・とても興味深いテーマであった為。議論をして知り得て良かったです。(Yさん)

・初参加でしたが、気負わず参加することができました。思考を巡らすことで、自分の思考の幅が広がった気がしました。(Uさん)

・自立という大まかなテーマから、ごく身近な問題に引き寄せた話を聞くことが出来たから。(Fさん)

・自立しているとはどういうことだろう。改めて考えさせられた。(Iさん)